「40GBにパワーアップ」の裏で月165円の値上げ。新ahamoの段階制、得をするのは誰か

「40GBにパワーアップ」と書かれた告知の同じ資料に、「月額料金を改定」と「+165円」が載っている。
NTTドコモは2026年9月25日、オンライン専用プラン「ahamo」を12月1日からリニューアルすると発表した。容量は40GB・60GB・120GBの3段階制になり、公式サイトには「40GBにパワーアップ!」の文字が躍る。適用まで1か月を切り、個人も、社員のスマホ代を負担する会社も、契約を見直す時期に入った。
ところが報道発表資料を最後まで読むと、別紙4「新規受付終了済みの料金プランなどの月額料金の改定」の表に、ahamoが「+150円(税込+165円)」として並んでいる。容量アップの話と値上げの話が、1本のリリースに同居しているのである。筆者は今回、増量という言葉の裏で誰の請求がいくら変わるのかを、一次資料の数字だけで分解する。
導入:同じ発表の中に「増量」と「改定」が並ぶ
見出しで目立つのは容量だ。ahamo公式の「新しいahamo」ページは、12月1日から「毎月の使い方に合わせて自動で切り替わる段階制プラン」になると説明し、40GBまで月3,135円(税込)を最初に掲げる。
一方で同じリリースの冒頭には「物価や人件費の上昇など事業環境が変化する中で」「一部の料金プランの月額料金を改定します」とある。改定対象の表にはeximoの+550円(税込)、irumo(3GB/6GB/9GB)の+330円(税込)と並んで、ahamoの+165円(税込)が載る。つまりahamoは「リニューアル」と「値上げ」の両方の対象であり、宣伝で前に出ているのは前者だけだ。
仕組みの解説:3段階の自動切り替えと「上限設定」
新料金は次の3段である(いずれもドコモ報道発表、税込)。
- 40GB以下(ステップ1):月3,135円
- 40GB超60GB以下(ステップ2):月4,125円
- 60GB超120GB以下(ステップ3):月5,115円
使った量に応じて自動で上の段へ移る。ステップ1から2へは990円、2から3へも990円の上乗せで、使いすぎた月だけ請求が跳ねる設計だ(差額は筆者算出)。
これを抑えるのが無料の「上限設定オプション」である。上限を超えると速度が最大1Mbpsに制限される代わりに、請求は指定した段の料金で止まる。重要なのは、2026年11月1日時点の契約者(大盛りオプション契約者を除く)には、12月1日に上限40GBが自動で設定されることだ。何もしなければ既存利用者は「40GBで止まる3,135円の契約」に置き換わる。
同時に、これまでの「大盛りオプション」は11月30日で提供を終了し、契約中の人は自動で廃止される。8月1日から実施中の「データ増量おためしキャンペーン」も11月30日で終わる。増量の看板の陰で、既存の増量手段が二つ消えるわけだ。

数字と言葉のトリック:「40GB」は値札ではなく容量の話
現行ahamoの容量について、リリースの別紙5の注記は「国内・海外合わせて30GBまで利用可能」としている。現行の月額は、新料金3,135円から改定額165円を差し引くと2,970円(税込)と算出できる(ahamo公式の料金ページで確認済み)。
ここで言葉の効き方を整理する。「30GBから40GBへ10GB増量」は事実だ。しかし「毎月20GB以下しか使わない人」にとって増えた10GBは使わない容量で、残るのは月165円の負担増だけである。試算すると年1,980円(165円×12か月)。逆に35GB使う人なら、30GBの壁が40GBに広がる恩恵を受ける。同じ「パワーアップ」でも、受け手の利用量によって値下げにも値上げにもなる。
もう一つの言葉が「実質」だ。リリースは「ahamoポイ活」を、120GBの5,115円にポイ活オプション2,200円を足した月7,315円(税込)とし、dポイント(期間・用途限定)を最大4,000ポイント充当した後の「実質価格」を2,915円(税込)と示している。ただし最大4,000ポイントはd払い・dカードでの買い物に連動した還元であり、毎月満額を受け取れる人は限られるとみられる。実際に請求されるのは7,315円で、「実質2,915円」は買い物の量を前提にした計算上の数字である。ポイント還元で「実質無料」になった分は、誰が払っているのか。で整理した通り、「実質」はポイントを使い切る前提が崩れた瞬間に意味を失う。
得をするのは誰か:単価を上げつつ、使う人からは段で回収する
まず事業者側から見る。全契約者の基本料が165円上がるため、利用量にかかわらず1回線あたりの月額収入が増える。さらに40GBを超えた月は990円単位で段が上がる。容量の多い利用者には上の段で、少ない利用者には基本料の改定で、どちらからも単価を引き上げられる構造だ。
次に利用者。得をするのは「30GBではわずかに足りず、40GB以内に収まる人」である。従来なら追加購入や大盛りオプションが必要だった層が、3,135円で収まる可能性がある(大盛りオプションの現行月額は1,980円(税込)。損をするのは、20GB前後で十分な人と、大盛りオプションで大容量を使ってきた人だ。後者は12月から自動で段階制の料金に移り、60GBを超えれば5,115円になる。
そして見落としやすいのが上限40GBの自動設定である。料金の跳ね上がりを防ぐ親切な措置に見えるが、裏返せば、40GBを超えて使いたい人は自分で解除しない限り1Mbpsに絞られる。料金トラブルを避ける設計と、上の段へ移る心理的なハードルの両方を兼ねている点は押さえておきたい。

ビジネスへの効き方:社用回線は「容量」ではなく「単価×回線数」で見る
試算:補助対象50回線なら年99,000円の増額
社員が個人契約するahamoの通信費を会社が全額補助している、という形を仮定する。50回線がすべて40GB以下に収まるとしても、改定額165円×50回線×12か月で年99,000円の負担増になる(試算)。容量を使わない回線ほど、改定は純粋なコスト増として効く。
上限設定は「止める」か「越えさせる」かの経営判断
12月1日の自動設定で、既存回線は40GBで速度制限がかかる。テザリングで出張先から大容量の資料を扱う部署があれば、月末に業務が止まる恐れがある。逆に解除すれば、使い過ぎの回線だけ4,125円、5,115円へ上がる。回線ごとに「止める」か「上の段を許す」かを決め、端末管理の規程に書き込むべきだ。
自社の値付けにも同じ型が使える
基本料をわずかに上げ、同時に「量を増やした」と打ち出す型は、サブスクやSaaSでも多用される。11月1日、ドメイン代が静かに上がった。「料金改定」の値上げ率ランキングでも見た通り、改定額は小さいほど目立たない。売る側に立つなら、増量と値上げを同時に出すことで反発は抑えられるが、利用量の少ない顧客ほど損を感じやすい。解約率の高い層がどこにいるかを先に確かめてから使うべき手である。乗り換え先の候補として「今週だけ0円」が毎週続く。LINEMOの手数料無料で、誰が誰を買っているのかも合わせて読むと、各社が誰に何を払っているかが見えてくる。
まとめ:自分の「月の使用量」で読み替える
新しいahamoは、容量の看板が30GBから40GBへ上がった一方、基本料は月165円上がり、大盛りオプションと増量キャンペーンは11月30日で終わる。得か損かを決めるのは「40GB」という数字ではなく、自分や自社の回線が毎月何GB使っているかだ。12月の請求が来る前に、直近3か月の使用量を確認し、上限設定を残すか外すかを決めておきたい。筆者の結論は単純である。増量の告知を読んだら、同じ資料の別紙まで読むこと。値札はたいてい後ろのページにある。
出典・確認日
- NTTドコモ 報道発表「『ahamo』をリニューアル、『ドコモ mini2』『ドコモ MAX 60歳以上割』の提供を開始、および一部料金プランの月額料金を改定」(2026年9月25日) https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2026/09/25_00.html(確認日:2026-11-05)
- ahamo「新しいahamo」 https://ahamo.com/new-ahamo/index.html(確認日:2026-11-05)
※料金・条件は変更される場合がある。最新の内容は公式ページで確認してほしい。(文:Antithesis編集部)
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段階制で月額の見え方が変わる今は、契約中の回線を見直す好機でもある。審査や名義の都合で選べる回線が限られる人向けの選択肢として、本人名義でスマホが持てるサービスがある。料金や条件は申込み前に必ず公式ページで確認してほしい(だれでもモバイルの詳細はこちら)。
合わせて読みたい
- ポイント還元で「実質無料」になった分は、誰が払っているのか。
- 11月1日、ドメイン代が静かに上がった。「料金改定」の値上げ率ランキング
- 「今週だけ0円」が毎週続く。LINEMOの手数料無料で、誰が誰を買っているのか
- 「初月無料」のサブスクは、解約画面がいちばん遠い。
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