11月1日、ドメイン代が静かに上がった。「料金改定」の値上げ率ランキング

11月1日、あなたの会社の固定費が、誰にも相談されずに少しだけ上がりました。
請求書が届くのは、たいてい忘れたころです。ドメイン名の更新料のことです。ドメイン名の登録サービス「JPDirect」は、2026年11月1日から一部のgTLD等ドメイン名の料金を改定しました。JPDirectのお知らせは9月1日に掲載されていて、理由は「上位機関によるgTLD等ドメイン名の料金値上げ等を受け」と説明されています。
1件あたりは数百円の話です。だからこそ、経営の現場では見落とされがちです。今回は、値上げ率のランキングを作りながら、「料金改定」という言葉と小さな固定費の積み上がりを読み解きます。
仕組み:ドメイン料金は「卸値」に連動して動く
今回の対象は、.biz/.com/.info/.mobi/.org/.osaka/.site/.work/.xyz/.ccの10種類です。対象手続きは新規登録、登録更新、他社からの移管申請の3つで、汎用JPドメイン名(.jpなど)や属性型JPドメイン名(.co.jpなど)は対象外です。
適用のタイミングにも注意が必要です。お知らせによると、登録更新料は「2026年11月1日以降に有効期限を迎える場合」に改定後の料金になります。つまり、契約した日ではなく、有効期限がいつ来るかで値段が決まります。
JPDirectは理由を「上位機関」の値上げとしています。ドメインの世界では、登録を受け付ける事業者の上に、各ドメインを管理する組織があります。小売店が卸値の変更を受けて店頭価格を変えるのと同じ構造だと考えると分かりやすいでしょう。
数字と言葉のトリック:「改定」は値上げも値下げも同じ言葉
税込価格で値上げ率を計算し、高い順に並べたのが次の図です(値上げ率は公表価格から筆者が計算)。

- 1位 .mobi:6,820円→9,625円(約41.1%増)
- 2位 .work:3,344円→4,015円(約20.1%増)
- 3位 .biz:3,982円→4,730円(約18.8%増)
- 4位 .info:4,609円→5,357円(約16.2%増)
- 5位 .org:2,651円→3,069円(約15.8%増)
- 以下 .site(約14.8%増)、.osaka・.xyz(各約12.5%増)、.com(3,289円→3,509円、約6.7%増)
面白いのは最後の1つ、.ccです。8,360円から2,585円へ、約69.1%の値下げです。同じ表の中に値上げと大幅な値下げが並び、どちらも「料金改定」という一つの言葉でまとめられています。
これは誠実な書き方でもあります。ただ、読む側は「改定=値上げ」と思い込んで細部を読まないか、逆に「値下げもあるなら大した話ではない」と受け取るかもしれません。合格率90%の資格講座は、嘘をつかずに数字を作れる。の記事でも紹介しましたが、数字は並べ方とまとめ方で印象が変わります。一番多く使われている.comの上昇率が6.7%と最も小さいことも、見出しだけでは伝わりません。
得をするのは誰か:解約されにくい商品は値上げしやすい
ドメインは、一度使い始めると簡単には変えられません。会社のサイトのURLやメールアドレスに組み込まれているからです。名刺、パンフレット、取引先の登録情報まで書き換える手間を考えると、数百円の値上げで別のドメインに移る会社はまずありません。
ここからは推測です。乗り換えにくい商品ほど、提供する側は値上げを通しやすくなります。今回JPDirectが理由に挙げた「上位機関」の側から見れば、全世界の登録者が少しずつ多く払う構造です。登録サービス事業者は、仕入れが上がった分を転嫁しているだけで、むしろ板挟みの立場とも言えます。
なお、他社からの移管申請も改定の対象です。値上げを機に登録先を変えようとしても、移管先が同じように値上げしていれば逃げ場は限られます。

ビジネスへの効き方:「小さな自動更新」こそ棚卸しを
具体例で考えます。.comのドメインを10件持っている会社の場合、税込で年32,890円が35,090円になり、年2,200円の増加です(筆者の試算)。金額としては小さいですが、問題は金額ではありません。
コスト:誰も「使っているか」を確認していない
キャンペーン用、商品名用、防衛目的で取ったドメインが、何年も更新だけされているケースは少なくありません。「初月無料」のサブスクは、解約画面がいちばん遠い。の記事でも紹介しましたが、自動更新の契約は、止める理由を探さない限り止まりません。値上げは棚卸しのきっかけとして使えます。
リスク:止めるときは慎重に
一方で、使っていないように見えるドメインでも、古いメールや外部サービスの登録に使われていることがあります。手放したドメインを第三者が取得すると、なりすましに使われる危険もあります。削る判断は、利用状況を確認してからにするべきです。
判断:値上げは「卸値連動」の契約を見直す合図
自社が売る側なら、仕入れ価格に連動する商品をどう値上げするかの手本になります。JPDirectは約2か月前に告知し、理由と適用条件を明示しました。AI副業で、最初に儲かるのは誰だ。の記事でも紹介しましたが、ツールやサービスの利用料のように、自分で決められないコストは静かに利益を削ります。自社の見積もりや価格表にも、「外部要因で改定する場合がある」と書いておく価値があります。
まとめ
JPDirectの料金改定で、10種類のドメインのうち9種類が値上げ、1種類(.cc)が値下げになりました。最大は.mobiの約41.1%増、最も利用の多い.comは約6.7%増です。1件数百円の変化でも、乗り換えにくい商品の値上げは静かに通ります。年に一度、自社の「小さな自動更新」を並べてみる。それだけで、気づかないうちに増えた固定費が見えてきます。
出典・確認日
- JPDirect「gTLD等ドメイン名の料金改定のお知らせ」(2026年9月1日)https://jpdirect.jp/topics/2026/09/0901-1.html(確認日:2026年11月4日)
※価格は税込、1年あたりの新規登録・登録更新料金。値上げ率と10件保有時の金額は公表価格をもとにした筆者の計算です。
合わせて読みたい
- 「初月無料」のサブスクは、解約画面がいちばん遠い。
- 合格率90%の資格講座は、嘘をつかずに数字を作れる。
- AI副業で、最初に儲かるのは誰だ。
- ポイント還元で「実質無料」になった分は、誰が払っているのか。
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