世間の「いいこと」を、疑うメディア。お金と仕組みを読む。
数字と言葉のトリック

「最大24回分がお支払い不要」の隣に、特典利用料の請求書がある

公開: / 更新:

「不要」になるのは分割払いだけだ。その入口で、別の支払いが待っている。

ソフトバンクの「新トクするサポート+」は、公式ページの先頭で「最大24回分の機種代金がお支払い不要」と訴求する。48回払いの後半分が消えるのだから、目を引くのは当然だ。だが同じページを最後まで読むと、特典利用料、早期利用料、故障時負担金、あんしん保証パックという4つの金額が並んでいる。「実質いくらで済むのか」は、この4つを足し引きして初めて分かる。新トクするサポートプラス 特典利用料 22000円 査定、という条件で調べている読者のために、公式の条件書の数字を帳簿の形に並べ直す。

特典B:「24回分不要」に届くまでの条件は4つある

標準の特典Bの条件は、ソフトバンク公式「新トクするサポート+」によれば次のとおりだ。

第一に、対象機種を48回払いで購入していること。第二に、25ヵ月目以降に特典利用を申し込むこと。第三に、申込日の翌月末までに、機種の回収と査定が完了すること(店頭での回収・査定は行わない)。第四に、査定完了後に特典利用料を一括で支払うこと。そして特典の利用には、ソフトバンクで対象機種へ買い替えることが前提になる。端末は手元に残らない。「24回分不要」は、端末を返し、利用料を払い、次の機種も同じキャリアで買う人にだけ届く数字だ。

24回分が消えるまでの関門の図解

特典利用料は「固定の22,000円」ではない

ここが最も読み落としやすい点である。特典利用料は、かつての案内のように一律の金額ではない。公式の現行仕様では、特典Bの特典利用料は「お支払い不要となる金額に95%を乗じた金額」と「特典利用料最大額」のいずれか少ない方と定められている。つまり、不要になる金額が大きい機種ほど、利用料も連動して大きくなり得る。金額は機種・ストレージ容量・契約種別で変わり、公式ページにも「2026年10月23日時点の金額です。変更される場合があります」と注記がある。自分の利用料は My SoftBank で確認するしかない。「最大24回分不要」という見出しの大きさと、「利用料は人によって違う」という但し書きの小ささ。この落差が、言葉のトリックの本体である。

特典A:「最大36回分」は、早期利用料と保証パックとセット

早く返す特典Aは、13ヵ月目から24ヵ月目までに申し込むと最大36回分が不要になる。見出しだけなら特典Bより得に見える。だが条件は重い。早期利用料が最大88,000円かかる。さらに、機種購入時から申込完了まで、あんしん保証パックサービス(月額最大3,280円)に加入し続けていることが必須だ。13ヵ月加入すれば保証パックだけで最大42,640円になる計算だ。早期利用料と合わせると、「36回分不要」の入口で13万円規模の支払いが発生し得る。端末価格が高い機種ならなお得になる場合はある。だが「36」という数字だけで飛びつく設計にはなっていない。

査定で弾かれた場合の故障時負担金

査定基準を満たさない場合は、故障時負担金が必要になる。上限は最大44,000円(2026年8月19日以降の加入者。計算は残債務から特典利用料を差し引いた額に95%を乗じた額と、査定ランクごとの最大額一覧の、いずれか少ない方)。画面のヒビ、筐体の破損、初期化やロック解除の不備などは査定の対象で、基準を満たさなければ特典そのものが使えない場合もある。2年間、端末を「返す前提の借り物」として扱い続ける緊張感も、このプログラムのコストの一部だと筆者は見る。

「不要」になる回数と、別に払う金額の図解

ビジネスへの繋がり:端末は「資産」ではなく「返却条件付きの調達」になる

法人でスマホをまとめて調達する場合、この構造は経理と運用に直結する。48回払いの後半が消える代わりに、端末は自社の資産として残らず、返却時の状態で追加負担が変わる。機種変更のタイミングも「25ヵ月目以降」というプログラムの都合に縛られる。従業員の使い方で査定結果が変わる以上、ケースや保護の運用ルールまで含めて総コストを試算しないと、「実質半額」の見込みは崩れる。通信費の見直しは、端末の調達方法と回線料金を分けて考えるのが先だ。

※この記事にはアフィリエイト広告が含まれます。

回線料金そのものを抑える選択肢として、BB.exciteモバイル Fitプランのような使った分だけの格安SIMや、短期利用・検証用のREN SIMのようなレンタルSIMがある。端末プログラムの条件は今後も変わるため、Fujisan.co.jpで通信・IT系の雑誌を追い、条件改定を早めに掴むことも実務の備えになる。

反対側の現実

このプログラムが全員にとって損だとは言わない。2年ごとに最新機種へ乗り換え、端末を丁寧に使い、同じキャリアを使い続ける人にとっては、残価のリスクをキャリア側に寄せられる合理的な仕組みだ。問題は仕組みそのものではなく、見出しの「最大24回分がお支払い不要」という一句が、返却・査定・利用料・買い替えという4つの条件をすべて飲み込んでしまうことにある。

「実質」という言葉に出会ったら、消える金額と、別に払う金額を、同じ大きさの字で並べること。それだけで判断は変わる。格安回線への乗り換え判断についてはLINEMOの事務手数料と料金の読み方、ahamoの料金改定の読み解きはahamoの40GB化と値段の現実、無印カードのデータ期限のような「条件付きの数字」は無印カードのデータ期限を読むも参考になる。

出典

  • ソフトバンク「新トクするサポート+」― 特典A(13〜24ヵ月目申込・翌月末までに回収/査定完了で最大36回分不要、早期利用料最大88,000円、あんしん保証パック月額最大3,280円の加入が必須)、特典B(25ヵ月目以降申込で最大24回分不要、査定完了後に特典利用料を一括払い)、故障時負担金最大44,000円(2026年8月19日以降加入者)、金額は2026年10月23日時点・機種や契約種別で変動する旨の注記、を確認。

出典確認日:2026-11-06

合わせて読みたい

この記事は Antithesis編集部 が一次情報を確認して執筆しました。媒体の方針と検証の姿勢は運営者情報にまとめています。お金と制度の学び直しには、ウハウハ高等学校の入学案内も参考にしてください。

Antithesis編集部

← コラム一覧へ